歌ってみたのやり方 完全ガイド:曲選びから録音・MIX・動画・投稿まで
- 歌ってみたは、曲を選ぶ → インストを確かめる → 道具をそろえる → 録音 → MIX → 動画 → 投稿・告知の7ステップ。必要なものは、パソコン・マイク・密閉型ヘッドホン・録音ソフト(DAW。無料のものもあり)。マイクによってはオーディオインターフェースも要ります。
- JASRAC・NexTone が管理する曲なら、契約しているサービス(YouTube など)への投稿は、一定の範囲で手続きなし。インストの音源は別で、配布元のルールか許可が必要です。録る前に確かめます。
- 録音は WAV で、音割れさせず、リバーブなどをかけずに(かけ録りしない)。MIXは自分で・MIX師さんに頼む・自動の3通り。YouTube の動画は横長16:9の MP4 が基本です。
歌ってみたは、曲を選ぶ → インスト(オケ)を用意して使っていいか確かめる → 道具をそろえる → 録音 → MIX → 動画 → 投稿・告知の7つのステップで作れます。パソコン・マイク・密閉型ヘッドホン・録音ソフト(DAW)があれば、家で始められます。
この記事は、はじめての1本を出すまでの「地図」です。ステップごとに、やることと気をつけることをまとめ、くわしい所はそれぞれの記事にリンクしています。
歌ってみたができるまでの流れ
順番どおりに進めなくても大丈夫ですが、2のインストの確認だけは、録音の前に済ませておくのがおすすめです。録ったあとで「このインストは使えなかった」となると、録り直しになるからです。
権利の話は、2026年10月時点の公式の案内をもとにした一般的な情報で、法律の助言ではありません。
1. 曲を選ぶ
最初の1曲は、「好きな曲」の中から、次の3つを満たすものを選ぶと進めやすくなります。
- 最高音と最低音が、無理なく出る:インストに合わせて、サビと低い所を実際に歌ってみる
- インストが手に入る:配布されているオフボーカル音源があるか。キーを変えたい時は、キー違いが配布されているか、配布元のルールでキーを変えてよいか
- 投稿先で使える曲か:次のステップで確かめます
キーの変更も「改変」として認めていないルールがあります(例:ニコニコの楽曲収益化サービス(NRC)で、歌ってみたを音楽のサブスクに配信する時は、キーの変更やショートバージョンへの編集も改変に入ります)。ショート用の切り出しも含めて、録る前に配布元のルールを読んでおきましょう。
2. インスト(オケ)を用意して、使っていいか確かめる
歌ってみたには、2つの権利が関わります。曲そのもの(作詞・作曲)の権利と、インストの音源(原盤:録音された音そのもの)の権利です。
- 曲の権利:JASRAC や NexTone が管理している曲なら、投稿先が JASRAC・NexTone と契約しているサービス(YouTube・ニコニコ動画・TikTok など)への投稿は、一定の範囲で、個人の手続きはいりません(替え歌・編曲や、宣伝のための動画などは別。管理されていない曲は、作者のルールを確かめる)
- 音源の権利:インストを作った人(配布しているボカロPさん・公式・レコード会社など)が持っています。配布元のルールを守るか、許可をもらう必要があります
| インストの出どころ | 確かめること |
|---|---|
| ボカロPさん・公式が配布しているオフボーカル | 配布ページの利用ルール(使えるサービス・クレジット・収益化・改変) |
| CD・配信の Instrumental(カラオケ) | その音源のレコード会社などの許可が必要 |
| 原曲から、アプリやAIでボーカルを消した音源 | 元はCD・配信の音源なので、レコード会社などの許可が必要 |
| 自分で演奏・打ち込みしたオケ | 原盤の許可はいらない(アレンジを加える時は、作詞者・作曲者の意向の確認が要る) |
| 制作を頼んだ・買ったオケ | 作った人・販売元との約束(使える範囲・収益化・クレジット) |
出どころ別のくわしい確かめ方は、インスト・オフボーカルの使用許可の確かめ方にまとめました。
3. 録音の道具をそろえる
宅録の基本の道具は、次のとおりです。高いものほど良い音になる、とは限りません。まずは無理のない組み合わせで始めて、必要になったら足していくのがおすすめです。
| 道具 | 役わりと、選ぶ時のポイント |
|---|---|
| パソコン | 録音・MIX・動画に使う。買う前に、使いたいDAWの動作環境を確かめる |
| DAW(録音・編集ソフト) | オケを流しながら歌を録り、編集する。パソコンやオーディオインターフェースとの相性で選ぶ。無料のものや、機材に付いてくるものもある |
| マイク | コンデンサーマイクは声の細かい所まで録れるが、部屋の音も拾いやすい。ダイナミックマイクは部屋の音を拾いにくい。USBマイクはパソコンに直接つなげる |
| オーディオインターフェース | マイクの音をパソコンに取り込む(USBマイクなら不要)。コンデンサーマイクを使うなら、ファンタム電源(48V)に対応しているか確かめる |
| 密閉型ヘッドホン | オケを聴きながら歌う。音漏れが少なく、オケがマイクに入りにくい |
| ポップガード・マイクスタンド | パ行などの息がマイクに当たる「吹かれ」を防ぐ。立って歌える |
4. 録音する
ヘッドホンでオケを聴きながら歌い、DAWに録音します。録る前に、次のことを決めておくと、あとのMIXが楽になります。
- WAV・24bitで録る。サンプリングレート(48kHz か 44.1kHz)は、プロジェクトを作る時にインストのファイルと合わせて決め、途中で変えない
- メインとハモリは別のトラックに録る。何テイクか録って、番号をつけて残しておく。MIXに出す前に、使うテイクを1本にまとめる
- 音量は、DAWのメーターの数字で、一番大きい所でもピーク −6dB より下が目安。オーディオインターフェースのつまみ(ゲイン)で合わせる。マイクとは約20cm離れるのが目安
- リバーブは自分が聴く音だけにかけて、録音には入れない(かけ録りしない)。配信用のオーディオインターフェースの内蔵エフェクトや LOOPBACK、パソコン・アプリの自動のノイズ除去や音量調整も、録音に入らないようにオフにしておく
- 自分の声が遅れて聞こえる時は、インターフェースのダイレクトモニターを使う。ヘッドホンの音量は上げすぎない(オケがマイクに漏れる)
音割れや部屋の響きは、MIXでは直しきれません。くわしくはMIXの仕上がりが変わる録音のコツ5つへ。
5. MIXする
録った歌は、そのままオケと重ねただけだと、歌が浮いたり埋もれたりしがちです。ピッチやタイミングの修正、EQ(音の高さごとの量の調整)・コンプ(音量のばらつきをならす)、響き、ハモリの配置、演出、マスタリングなどで、1曲に仕上げます。インストが1本(楽器がまとまったステレオの音源)のまま、歌(メイン・ハモリ)を合わせて仕上げるMIXを2MIXと言います。楽器ごとに分かれたデータで仕上げるのは「パラMIX」です。
MIXのしかたは、大きく3つあります。
- 自分でMIXする(セルフMIX):時間はかかるけれど、音を自分で決められる。手順と時間の目安は歌ってみたのMIXを自分でやる方法
- MIX師さんに頼む:声や曲に合わせて、相談しながら仕上げてもらえる。タイミングの修正・歌の切り貼り・ハモリづくりや演出も相談できるので、オリジナル曲・勝負曲に。頼み方と料金・納期の相場は2MIXとは?
- 自動の2MIXのサービスを使う:早くて料金も抑えめ。タイミングの修正や演出はしないので、MIX師さんの予定が合わない時や、急ぎ・ショート・毎週の投稿に(この記事を書いているTakeme2mix Studioも、そのひとつです)
どの方法でも、歌とインストは曲の頭から終わりまで同じ範囲で、別々のファイルに書き出します。エフェクトはかけず、録音と同じサンプリングレートで。Cubase での手順は歌とインストの書き出し方にあります。
この記事を書いているTakeme2mix Studioについて
この記事はTakeme2mix Studioの運営が書いています。Takeme2mix Studioは、歌とインストを預けると、自然な強さのピッチ補正からYouTube向けのマスタリングまでを自動で行う2MIXのサービスです。4つの候補から選び、3回まで直せます(完成版は4つまで)。フルならYouTube用(16:9)、ショートならショート用(9:16)の動画もつきます。タイミング(リズム)の修正や、テイクの切り貼り・選び直しはしないので、使うテイクを1本にまとめてから預けてください。
MIX師さんの代わりではなく、MIX師さんが忙しい時のためのサービスです。タイミングの修正や歌の切り貼り、ハモリづくりが要る曲、オリジナル曲・勝負曲は、MIX師さんへの相談がおすすめです。
6. 動画を作る
YouTube などに出すには、音に映像をつけて動画にします。よくあるのは次の形です。
- 一枚絵に、曲名や歌詞をのせる:自分で作りやすい
- 絵や動画を、絵師さん・動画師さんに頼む:頼む前に、使ってよい範囲(投稿先・収益化・サムネイルやショートへの使い回し)を決めておく
絵や映像にも権利があります。使えるのは、自分で描いたもの・頼んで描いてもらったもの・利用規約で使ってよい範囲が決まっている素材です。本家のMVの絵や、アニメ・ゲームの映像、ネットで見つけた画像を、許可なく使わないようにしましょう。フリー素材も、素材サイトの利用規約(収益化・クレジット)を確かめます。
歌詞も、曲の権利(作詞)の一部です。動画に歌詞を出す時も、曲と同じく、管理されている曲か・投稿先が契約しているサービスかが関わります。替え歌にする時は、作詞者・作曲者の意向の確認が要ります。
YouTube に出す動画の書き出し設定
YouTube がすすめている主な設定です。動画編集ソフトの書き出し画面で選びます。動画編集ソフトには、MP3 ではなく MIX が済んだ WAV を読み込むと、音が二重に圧縮されずに済みます。
| 形式 | MP4 |
|---|---|
| 映像 | H.264。フルの動画は横長(16:9)。1080p なら、30fps までは 8Mbps、60fps なら 12Mbps が目安 |
| 音声 | AAC-LC・ステレオ・48kHz・384kbps |
| ショート | 縦長(9:16)か正方形で、3分まで |
7. 投稿して、告知する
タイトル・概要欄
タイトルは、曲名と自分の名前が入っていれば、見つけてもらいやすくなります。よく見るのは「曲名 / 名前(Cover)」や「【歌ってみた】曲名 / 名前」の形です。
概要欄には、関わった人や配布元を書くクレジットを入れます。配布元が書き方を決めている時は、そのとおりに書きます。
- 本家:元の曲の動画のURL
- Music・Lyrics:作詞・作曲の方
- Inst:インストを作った方・配布ページ
- Vocal:自分の名前
- Mix・Illust・Movie:MIX・絵・動画を担当した人
サムネイル
YouTube で自分で作った画像をサムネイルにするには、アカウントの確認が必要です。大きさは、ふつうの動画は 16:9(3,840×2,160 ピクセルなど)、ショートは 9:16(2,160×3,840 ピクセルなど)で、幅は 640 ピクセル以上。ファイルの大きさは、パソコンからなら 50MB、スマホからなら 2MB まで。ショートに自分で作った画像を設定できるのは、2026年10月時点でパソコン版の YouTube Studio だけです。
公開したあとに「著作権の申し立て」が来たら
YouTube では、動画に JASRAC の管理する曲が入っていると、「著作権の申し立て」の通知が届くことがあります。JASRAC は、これは曲が使われたことを知らせるもので、著作権の侵害を主張するものではなく、動画を消したり非公開にしたりする必要はない、と説明しています。
これは JASRAC の申し立ての話です。レコード会社やインストの配布元など、ほかの権利者からの申し立ては意味がちがうことがあるので、YouTube Studio で、申し立てた相手と内容を確かめてください。
ショートには長さの決まりもあります。3分以内の動画を縦長や正方形で出すと、ショートとして扱われます。1分を超えるショートは、申し立てがあると見られなくなることがあります。なお、2026年9月24日からは、1分を超え3分未満の新しいショートは、自動でブロックされずに再生できる場合もある、と YouTube のヘルプにあります。フルの歌ってみたは、横長(16:9)で出すのが基本です。
X で告知する時
X(旧 Twitter)は、2026年10月時点で、JASRAC・NexTone が公表している契約サービスの一覧に載っていません。つまり、YouTube のように「契約しているサービスだから手続きなし」とは、この一覧からは確かめられません。JASRAC は、一覧にないサービスで使う時は、そのサービスの運営に問い合わせるよう案内しています。サビの切り抜きなど、曲の入った動画を X に直接上げる時も同じです。
告知は、YouTube に上げた動画(ショートでも)のリンクを貼る形にできます。
2本目からを楽にするコツ
- DAWのプロジェクトをひな形にする:トラックの並び・録音の設定・書き出しの設定を残しておく
- 概要欄の型を残す:クレジットの並びを決めておけば、曲ごとに名前を入れかえるだけ
- ショートで間をつなぐ:フルの準備中も、サビだけのショートで投稿を続けられる(配布元のルールで切り出しができるかは確かめる)
よくある質問
最初に何を買えばいい?
パソコンがあるなら、密閉型ヘッドホンとマイクがあれば始められます。USBマイクなら、オーディオインターフェースなしでパソコンにつなげます。DAWは無料で使えるものもあります(DAWの例)。
スマホだけでもできる?
スマホで録音やMIXができるアプリもあります。あとでMIX師さんやMIXのサービスに頼むつもりなら、歌とインストを別々のファイルで書き出せるかを、アプリを選ぶ時に確かめておくと安心です。
1本出すのに、どれくらいかかる?
曲・録音の回数・慣れで大きく変わります。MIXだけでも、慣れないうちは1曲3〜5時間ほどかかるという解説があり、当サイトのセルフMIXの記事で、出典つきで目安をまとめています。はじめてなら、ソフトの使い方を覚える時間や、録音と動画づくりの時間も見ておきましょう。
歌ってみたで収益化できる?
まず、チャンネルが YouTube パートナープログラムに入る必要があります(チャンネル登録者数 1,000 人以上と、再生時間かショートの視聴回数の条件があります)。入ったあとは、音楽出版社が Content ID で申し立てや収益化をしているカバー曲の動画なら、収益の一部を受け取れる、と YouTube のヘルプにあります。インストの配布元が収益化を認めているかも、あわせて確かめてください。
参考にした情報
- YouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用(日本音楽著作権協会 JASRAC・2026年10月確認):契約しているサービスなら一定の範囲で手続きなしに投稿できる、市販CDなどの音源はレコード会社などの許諾が必要、編曲・替え歌、手続きが要る場合
- 利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧(JASRAC・2026年10月8日更新):YouTube・ニコニコ動画・TikTok などが載っている。X は載っていない
- 利用許諾契約を結んでいるサービスの一覧(株式会社NexTone・PDF・2026年6月25日更新)
- YouTube等の動画配信サービスで音楽を利用する際の注意事項(NexTone・2026年10月確認):自分で演奏・制作した音源なら手続き不要、第三者の音源(カラオケを含む)は原盤の権利者の許諾が必要
- YouTubeに投稿した動画に関する「著作権の申し立て」のお知らせについて(JASRAC・2023年2月10日、2024年4月2日更新):侵害の主張ではない、削除・非公開は不要
- 「千本桜」「アヤカシ」「ダーリンダンス」「Brand New Day」など全43曲の「歌ってみた」が、だれでも音楽サブスクで配信&収益化できます!(ニコニコインフォ・2026年3月23日):NRC で音楽サブスクに配信する時は、キーの変更やショートバージョンへの編集も改変に入る
- 初心者向け!歌ってみたに必要な機材・ソフト・録音の基本(島村楽器 mozoワンダーシティ店・2026年8月8日):機材の選び方、テイクの管理、オケの利用条件の確認
- 【歌ってみたを始めたい方へ】宅録の基本を解説!!(島村楽器 宇都宮インターパークビレッジ店・2025年12月18日):宅録の基本の機材と流れ
- YouTube の推奨アップロード エンコード設定(YouTube ヘルプ・2026年10月確認)
- 動画のサムネイルを追加する(YouTube ヘルプ・2026年10月確認):アカウントの確認、大きさ、容量、ショートのサムネイル
- Content ID の申し立ての詳細(YouTube ヘルプ・2026年10月確認):1〜3分のショートと申し立て
- 3 分間の YouTube ショートについて(YouTube ヘルプ・2026年10月確認):ショートの長さ、2026年9月24日からの変更
- YouTube パートナー プログラムの概要と利用資格(YouTube ヘルプ・2026年10月確認)
- 対象となるカバー曲の動画から収益を受け取る(YouTube ヘルプ・2026年10月確認)
- 特定商取引法に基づく表記(Takeme2mix Studio・自社のページ):Takeme2mix Studioの内容と料金