歌ってみたのMIXを自分でやる方法:セルフMIXの8つの手順と、かかる時間の目安
- 自分でMIX(セルフMIX)するには、DAW(録音・編集ソフト)とピッチ補正の道具があれば始められます。無料で使えるものもあります。
- 手順は大きく8つ。読み込み → ノイズ・ブレスの処理 → ピッチ補正 → EQ → コンプ → 響き → ハモリの配置と音量 → マスタリング。
- 慣れないうちは1曲3〜5時間ほどかかるという解説があり、とくにピッチ補正とエフェクトの調整に時間がかかるとされます。時間がとれない時は、MIX師さんに頼む・自動の2MIXを使う、という手もあります。
歌ってみたのMIXは、パソコンとソフトがあれば自分でもできます(セルフMIXと言います)。この記事では、歌(メイン・ハモリ)と1本のインスト(オケ)で仕上げる2MIXを、自分でやる時の手順を順番にまとめました。手順ごとに何をするのか、どこに時間がかかりやすいのかも書いています。
2MIXそのものの説明は、2MIXとは?パラMIXとのちがいにまとめています。
自分でMIXする前に用意するもの
最低限いるのは、次の4つです。
- DAW(録音・編集ソフト):歌とインストを並べて、エフェクトをかけ、1つのファイルに書き出すソフト
- ピッチ補正の道具:DAWに入っている機能か、追加のソフト(プラグイン)
- ヘッドホン:細かい音を聴くため。録音にも使うなら、音漏れしにくい密閉型
- MIXするデータ:歌(メイン・ハモリ)とインストを、WAVで、曲の頭から終わりまで同じ範囲で書き出したもの
DAWの例
| ソフト | 使えるパソコン | 料金など |
|---|---|---|
| GarageBand | Mac | 無料(Apple)。音程を近くの音に自動で寄せるピッチ補正がついている |
| Cakewalk Sonar(無料プラン) | Windows | 無料。BandLabのアカウントが必要で、一部の機能は有料プラン |
| Cubase Artist/Pro | Windows・Mac | 有料。歌の音程を1音ずつ直せるピッチ補正(VariAudio)が入っている |
料金・対応は、2026年10月時点で各社のページや解説記事で確かめたものです。変わることがあるので、入れる前に公式のページを見てください。Cubase の中で VariAudio が入っているのは Pro と Artist です。ほかのエディション(機材に付いてくる版など)を使っている時は、入っているか確かめてください。
ピッチ補正の道具の例
- VariAudio(Cubase Pro・Artist に入っている):歌の音程を、音符のように1音ずつ動かして直せる
- Melodyne(メロダイン):ピッチ補正の定番ソフト(有料)。入門版の essential でも、音程とタイミングの基本の直しができる
- Graillon 3(無料版あり):歌の音程を、自動で近くの音に寄せるタイプ。1音ずつ細かく直す道具ではない
MIXの手順(8つ)
2MIXは、おおよそ次の順番で進めます。MIX師さんや解説によって順番や進め方はちがいますが、大まかな流れは共通しています。
1. 読み込んで、頭と音量をざっくりそろえる
歌とインストをDAWに読み込み、すべてのファイルの頭(0秒の位置)をそろえます。同じ範囲で書き出したデータなら、並べるだけでそろいます。範囲がばらばらだと、ここで耳と目で合わせることになり、時間がかかります。
並べたら、歌とインストの音量をざっくり合わせておきます。インストは、完成した曲と同じくらい大きな音で仕上がっていることが多いので、先にインストを少し下げてから歌を合わせると、あとで音割れしにくくなります。大まかなバランスが先に決まっていると、EQやコンプの効き方もわかりやすくなります。
2. ノイズ・ブレスの処理(歌の下ごしらえ)
何テイクか録った時は、まず良い所をつないで1本にします。そのあと、歌っていない所の雑音(部屋の音・服のこすれ・リップノイズ)を消し、大きすぎるブレスを小さくします。ここを丁寧にやるほど、あとでコンプをかけた時に雑音が目立ちにくくなります。
3. ピッチ補正(とタイミング)
音程が外れた所を、自然に聞こえる範囲で整えます。1音ずつ聴いて直すので、慣れないうちはいちばん時間がかかる手順です。直しすぎると機械っぽい声になるので、「気になる所だけ」から始めるのがおすすめです。リズムのずれ(タイミング)を直す場合も、ここで行います。
4. EQで声を整える
EQ(イコライザー)で、こもって聞こえる低い音や、耳に刺さる高い音を調整します。2MIXでは、歌と重なる音域をインストのほうで少しだけ下げるのも効果的です。歌の言葉が聞き取りやすくなります。
5. コンプで音量のばらつきをならす
コンプ(コンプレッサー)で、小さい声と大きい声の差をならして、歌がインストに埋もれないようにします。「サ」「シ」などが強く刺さる時は、ディエッサーという道具でその音だけを抑えます。
6. リバーブ・ディレイで響きをつける
リバーブ(残響)やディレイ(やまびこ)で曲に合った響きをつけ、歌をインストになじませます。かけすぎると歌が遠く聞こえるので、少なめから足していきます。
手順4〜6のエフェクトの調整は、設定の意味がわかるまで行ったり来たりするので、ピッチ補正と並んで時間がかかりやすい所です。
7. ハモリの配置と、最後の音量合わせ
ハモリはメインより少し小さくして、なじませます。ハモリやコーラスが2本以上ある時は、左右に振り分けると広がります。1本だけの時は、真ん中か少しだけ横に置くと、左右のかたよりが出にくくなります。
最後に、手順1でざっくり決めた歌とインストの音量を、曲を通して聴きながら細かく合わせます。
8. マスタリングと書き出し
最後に、曲全体の音量やまとまりを整えて(マスタリング)、WAVなどで書き出します。
YouTubeは、大きすぎる音の動画を小さくして再生し、小さい動画を基準まで大きくすることはしない、と言われています。基準は −14 LUFS 前後という外部の測定が多いので、音量を上げすぎても得はありません。音割れしない範囲で、小さすぎなければ十分です。
かかる時間の目安
かかる時間は、曲の長さ・ハモリの本数・録音の状態・慣れで大きく変わります。MIXの仕事を始める人向けの解説では、慣れないうちは1曲3〜5時間ほどかかり、とくにピッチ補正とエフェクトの調整に時間がかかるとされています。
はじめて自分でやる人は、これにソフトの使い方を覚える時間が加わります。
| 手順 | 時間のかかりやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 1. 読み込み・頭と音量をそろえる | 小 | 同じ範囲で書き出してあれば、並べるだけ |
| 2. ノイズ・ブレスの処理 | 中 | 録音の雑音やテイクが多いほど増える |
| 3. ピッチ補正 | 大 | 1音ずつ聴いて直す。ハモリの本数だけくり返す |
| 4〜6. EQ・コンプ・響き | 中〜大 | 設定の意味がわかるまで、行ったり来たりする |
| 7. 配置・最後の音量合わせ | 中 | 曲を通して聴きながら、少しずつ動かす |
| 8. マスタリング・書き出し | 小〜中 | 音割れしていないか確かめて書き出す |
「時間のかかりやすさ」は、下の「参考にした情報」にある解説と、各手順の作業の中身から編集部が整理したもので、実際に計った時間ではありません。
仕上げのコツは、書き出したあと、時間をおいて別の機器でも聴くことです。ヘッドホン・イヤホン・スマホのスピーカーで聴くと、MIX中には気づかなかった所が見つかります。
つまずきやすいところ
- ピッチ補正をかけすぎる:音程は合っても、声の自然な揺れまで消えて機械っぽくなる。気になる所だけ直す
- リバーブをかけすぎる:歌が遠くなり、言葉が聞き取りにくくなる
- 歌を上げて、インストに勝とうとする:歌が埋もれる → 歌を上げる → 音割れ、をくり返しがち。インストを少し下げるほうが早い
- ハモリが1本なのに、片側に大きく振る:イヤホンで聴くと、かたよって聞こえる
- 1つの機器だけで決める:ヘッドホンでちょうどよくても、スマホでは歌が小さく聞こえることがある
- 録音の問題をMIXで直そうとする:音割れ・部屋の響き・大きな雑音は、MIXでは直しきれない
最後の「録音の問題」は、MIXの前に防ぐのがいちばんの近道です。録り方のコツはMIXの仕上がりが変わる録音のコツ5つにまとめました。
自分でやる?任せる?
自分でMIXできるようになると、曲の雰囲気に合わせて細かく作り込めます。一方で、毎週の投稿やショートでは、MIXにかかる時間が投稿の間隔を決めてしまうこともあります。どこまで作り込みたいかと、使える時間で選ぶのがおすすめです。
| 自分でMIX | MIX師さんに頼む | 自動の2MIX | |
| 仕上がるまで | 作業に数時間〜(慣れによる) | 1〜4週間ほど(予定や混み具合による) | 数分〜数十分 |
| 料金 | ソフト代(無料〜) | 1曲3,000〜15,000円ほど | 無料〜千円ほど(サービスによる) |
| 向いている時 | 作り込みたい・MIXも楽しみたい | じっくり作りたい作品・細かな相談をしたい | 急ぎ・ショート・毎週の投稿 |
MIX師さんの料金・納期の目安は、2MIXとは?の「料金と納期の相場」に出典つきでまとめています。自動の2MIXの料金・時間は、Takeme2mix Studioの料金と完成までの目安をもとにしています。この記事はTakeme2mix Studioの運営が書いています。
Takeme2mix Studioは、自然な強さのピッチ補正から、YouTube向けのマスタリングまでを自動で行う2MIXのサービスです。4つの候補を聴き比べて選び、好みに合わせて直せます(完成版は4パターンまで作れます)。タイミング(リズム)の修正はしないので、気になる所は録り直しがおすすめです。
よくある質問
無料のソフトだけでMIXできる?
できます。DAWは GarageBand(Mac)や Cakewalk Sonar の無料プラン(Windows)、ピッチ補正は GarageBand の機能や Graillon 3 の無料版などがあります。ただ、音程を1音ずつ細かく直す道具は、有料のものが多いです。
ピッチ補正は必ずしないといけない?
必ずではありません。音程が安定していれば、気になる所だけ、または補正なしでも大丈夫です。直しすぎると自然さが失われるので、どこまで直すかは自分の歌い方に合わせて決めましょう。
MIXとマスタリングは何がちがう?
MIXは、歌とインストのバランスや響きを整えて1曲にまとめる作業です。マスタリングは、まとまった曲全体の音量やまとまりを、最後に整える作業です。歌ってみたのMIXの解説では、マスタリングまでを一連の工程として扱うことが多いです。
参考にした情報
- 歌ってみた mix 副業 在宅 2026|音声編集を請けて稼ぐ始め方と単価(2026年):慣れないうちは1曲3〜5時間ほど、とくにピッチ補正とエフェクトの調整に時間がかかる
- 【歌ってみたの始め方③】MIX師への依頼マナーと「頭出し」のやり方(2025年・2026年更新):MIXの工程(ピッチ補正・タイミング補正・EQ・コンプ・空間系・マスタリング)
- GarageBand(App Store):Mac用・無料
- Correct the pitch of all regions on an audio track in GarageBand on Mac(Apple):オーディオトラックのピッチ補正(近くの音に寄せる)
- Cakewalk Sonar Returns as a Free DAW for Windows(Bedroom Producers Blog・2025年):無料プランの内容、Windowsのみ、BandLabのアカウントが必要
- 【SALE】CUBASE 15 期間限定30%OFF(島村楽器 小倉店・2026年):各グレードの説明。VariAudio は Pro・Artist に入っている
- What is Melodyne?(Celemony):エディションと、入門版 essential でできること
- Graillon 3(Auburn Sounds):無料版と有料版(Full Edition)のちがい、対応OS
- Graillon 3 is a live voice changer and pitch correction plugin(MusicTech・2024年):無料で使えるピッチ補正
- Are you confused about exactly what YouTube's playback volume normalization is doing to your music?(Production Advice・2017年、2022年更新):大きい音は下げ、小さい音は上げない
- YouTube changes loudness reference to -14 LUFS(MeterPlugs・2019年):再生の基準が −14 LUFS 前後
- 特定商取引法に基づく表記(Takeme2mix Studio):Takeme2mix Studioの料金と、完成までの時間の目安