MIXの仕上がりが変わる録音のコツ5つ【歌ってみた】

この記事のまとめ
  • MIXで整えられるのは録れている音だけ。音割れ・部屋の響き・雑音は、あとから直しきれません。
  • 音量は一番大きい所でもピーク −6dB より下。マイクとは約20cm離れて、ポップガードをはさみます。
  • 音の出るものを止めて、やわらかいものの近くで録る。ヘッドホンは密閉型。リバーブは聴く音だけにかけて、録音には入れません(かけ録りしない)。

歌ってみたのMIXで整えられるのは、録れている音だけです。音割れ・部屋の響き・大きな雑音は、どんな方法でMIXしても、あとから直しきれません。逆に言えば、録音で少し気をつけるだけで、MIXの仕上がりは大きく変わります。

この記事では、宅録で今日からできる5つのコツをまとめました。高い機材がなくてもできるものが中心です。

なぜ録音が大事なのか

MIXは、録れている音を「整える」作業です。音程や音量のばらつき、声のこもりや刺さりは整えられますが、録れていない音を元どおりに作り直すことはできません。

たとえば音割れ(クリップ)は、録音できる上限を超えた音の頭が切り取られ、その部分の情報が失われた状態です。修復用のソフトで目立たなくできる場合もありますが、切れた部分は推測で作り直すので、元の音そのものには戻りません。部屋の響きや雑音も、歌と一緒に録れてしまうと、きれいに切り分けるのは難しくなります。

ちょうどいい音量の波形は −6dB の線より内側。音割れした波形は上限で上と下が平らに切れる ちょうどいい:一番大きい所でも −6dB より下 0dB −6dB −6dB 0dB 音割れ:上限を超えて、波の頭が切れる 0dB 0dB 波形の高さで見ると、−6dB は上限のだいたい半分です。 平らに切れた所の形は、あとから元に戻しきれません。

録る前に:設定を3つだけ確かめる

歌い始める前に、DAWの設定を確かめておきます。ここがずれていると、どんなに上手に歌っても、あとで録り直しになることがあります。

どれも一度決めれば、次からは同じ設定のまま録れます。

コツ1:音量は「一番大きい所でも −6dB より下」

いちばん大事なのが、録音の音量(入力レベル)です。オーディオインターフェースの入力のつまみ(ゲイン)で調整します。USBマイクなら、マイク本体のつまみか、パソコンの入力の設定で合わせます。

録音の設定を24bitにしておくと、少し小さめに録っても、データにする時に出る雑音はほとんど気になりません(エアコンなど、部屋の雑音が減るわけではありません)。なので、大きく録ることより、割らないことを優先して大丈夫です。ただ、メーターがほとんど動かないほど小さいと、あとで音量を上げた時に、部屋の雑音も一緒に大きくなります。

録音中にメーターの赤いランプ(クリップ表示)が一度でもついたら、そのテイクは音割れしているかもしれません。波形を拡大して、上と下が平らに切れていないか確かめましょう。

コツ2:マイクとの距離は約20cm、ポップガードをはさむ

マイクとの距離は、近すぎても遠すぎてもうまくいきません。

楽器店の解説では、マイクから20cmほど離れて歌い、ポップガードはマイクから10cmほどの所に置く形がすすめられています。ポップガードは、「パ行」などの破裂する音で息がマイクに当たるのを防ぎます。

もう1つ大事なのが、毎回同じ距離で歌うことです。日によって距離が変わると、声の太さや響きが変わり、同じ曲の中でも別の場所で録ったように聞こえてしまいます。ポップガードと口の間をこぶし1つ分(10cmくらい)あける、と決めておくと、距離をそろえやすくなります。

コツ3:部屋の響きと雑音を減らす

防音室がなくても、身近なもので録音の質は上げられます。

録音を始める前に、何も歌わずに10秒だけ録って聴いてみるのもおすすめです。「サー」「ブーン」という音が聞こえたら、どこから出ているかを探してみましょう。

コツ4:ヘッドホンは密閉型にして、音漏れを入れない

録音中は、インストをヘッドホンで聴きながら歌います。この時、ヘッドホンから漏れたインストやクリック(メトロノーム)の音がマイクに入ると、歌のデータにインストが混ざってしまいます(「かぶり」と言います)。歌のデータに混ざった音は、あとから取り除くのが難しくなります。

配信にも使えるミキサー型のオーディオインターフェース(ヤマハの AG03MK2・AG06MK2 など)は、パソコンへ送る音の切り替えに気をつけます。「LOOPBACK」ではパソコンで流した音(インストなど)も、「INPUT MIX」ではエフェクトをかけた音も、一緒にパソコンへ送られます。歌を録る時は、マイクの音だけを送る「DRY CH 1-2」にしておきましょう。

コツ5:エフェクトは録音に入れない(素の声で録る)

歌いやすいように、ヘッドホンで聴く自分の声にリバーブをかけるのは良い方法です。ただし、リバーブをかけたまま録る「かけ録り」にならないようにします。録音に入った響きは、あとから外すのが難しくなります。MIXでは曲に合わせて響きを足すので、素の声で録られている方が仕上げやすくなります。

オーディオインターフェースによっては、エフェクトを「聴く音だけ」にかけるか、「録音にもかける」かを選べます。たとえば Steinberg の UR-C シリーズで使う設定アプリ dspMixFx UR-C では、リバーブ(REV-X)は聴く音だけにかかります。チャンネルストリップ(コンプやEQ)は、聴く音だけにかけるか、録音にもかけるかを選べます。MIXに出す歌は、録音にはかけない設定にしておくのがおすすめです。

書き出す時も、モニター用のリバーブは外して、WAV(24bit)で書き出します。Cubaseでの手順は歌とインストの書き出し方(Cubase)にまとめています。

録ったあとのチェックリスト

見る所こうなっていたら、録り直しを考える
音割れメーターの赤いランプ(クリップ表示)がついた・波形の上と下が平らに切れている
雑音歌っていない所で「サー」「ブーン」がはっきり聞こえる
ポップノイズ「パ行」などで「ボフッ」という低い音が入っている
距離同じ曲の中で、声の太さや響きが急に変わる所がある
かぶり歌だけを聴いた時に、インストやクリックが聞こえる
かけ録り歌だけを聴いた時に、リバーブなどの響きが入っている
ファイルWAVになっていない・歌とインストの範囲がそろっていない

自動の2MIXは、録音の質がそのまま仕上がりに出ます(Takeme2mix Studioも同じです)。チェックリストに引っかかる所がなければ、MIXの準備はできています。MIXそのものの流れは、歌ってみたのMIXを自分でやる方法にまとめています。

よくある質問

音割れしたテイクは、MIXで直せる?

修復用のソフトで目立たなくできる場合もありますが、切れた部分は推測で作り直すことになり、元の音には戻りません。時間があれば、録り直すのがいちばん確実です。

防音室がないと、ちゃんと録れない?

なくても録れます。音の出るものを止める、やわらかいものの近くで録る、マイクとの距離をそろえる。この3つだけでも、仕上がりは変わります。

録音の音量が小さすぎた時は?

24bitで録っていれば、少し小さいくらいなら問題になりにくいです。ただ、メーターがほとんど動かないほど小さいと、音量を上げた時に部屋の雑音も大きくなります。次からは、試し録りでつまみを合わせましょう。

参考にした情報

MIX師さんの予定が合わない時は、Takeme2mix Studio

歌とインストを預けるだけで、ピッチ補正込みの2MIXを自動で。4つの仕上がりから選んで、4回まで自分で調整できます。最短数分で完成。

🎁 はじめての1曲は無料メールアドレスの確認だけ。カードの登録はいりません